【19年青春18きっぷの旅/2026リマスター】日本海ひすいラインと信越本線からのオーシャンビュー

北関東/甲信越/中部

「ひすい」と日本海ひすいライン

松本駅から乗車したリゾートビューふるさとに乗って南小谷駅まで出た後、引き続き大糸線の各駅停車で糸魚川駅まで。

糸魚川駅からは、官民共同出資の地方鉄道(第三セクター。以下、「三セク鉄道」 ※)・日本海ひすいラインに乗車しました。

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about 日本海ひすいライン

日本海ひすいラインは、かつてJR西日本の管轄下で北陸本線として営業されていた路線です。

2015年の北陸新幹線(長野駅・金沢駅間)開業に伴ってJR西日本から経営分離されると、同年よりえちごトキめき鉄道が運営する三セク鉄道・日本海ひすいラインとして、市振いちぶり駅・直江津駅間が新規開業しました。

「新規」と言っても全くの新規ではないという開業経緯、および前身であるJR北陸本線時代の名残から、ターミナル駅にあたる糸魚川駅では、現在もホームや改札はJR大糸線と分離されていません。

ですが「日本海ひすいライン」区間は現在すでにJRの路線ではなくなっているため、残念ながら青春18きっぷは使えません。別途運賃が必要となります。

同じくえちごトキめき鉄道が運営する「妙高はねうまライン」でも青春18きっぷは使えず、乗車は別料金となりますが、「日本海ひすいライン」「妙高はねうまライン」乗車にあたってはこの点に注意が必要です。

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ひすいラインの「ひすい」と、先史時代の日本

日本海ひすいラインの名に使われた「ひすい(=翡翠)」とは、新潟県・長野県を流れる姫川流域の特産品である、緑色(半透明)の天然石のことです。今を遡ること約5億2千万年前に出来たと考えられており、古来より勾玉などに加工され使用されてきました。

同じく先史時代から石器に加工して使われていたサヌカイトや黒曜石などと共に、「産地以外の場所でも出土が確認されている」点にもその特異性が見いだされています。

サヌカイトの産地は香川の他、大阪・奈良など、黒曜石の産地は全国に点在していますが、

  • ひすいの分布:縄文中期の東日本全域に濃密にみられるほか、縄文末期には北海道・沖縄まで到達
  • サヌカイトの分布:西日本の産地を中心に、近畿地方・瀬戸内海沿岸・九州北部
  • 黒曜石の分布:産地を中心として、日本全国

以上のエリアでそれぞれ出土が確認されています。

「産地以外での黒曜石、ヒスイ、サヌカイトの分布」からは、特に本州・東日本エリアにおいて縄文時代より物流が広く発達していた様子が推定されますが、ここにさらに踏み込めば、当時の東日本には既に高い技術や広範なネットワークを持つ、安定した社会・文化が存在していたのではないかという可能性に繋がります。

時系列に沿って捉えた場合、その視点は「記紀」(古事記・日本書紀)が語る神話の世界との結びつきにも繋がり得るものとなってきますが、例えば出雲神話に登場する大国主神オオクニヌシノミコトが、高志国こしのくに(山形県の一部と新潟県を含む、現在の北陸地方日本海岸)の奴奈川姫ヌナカワヒメに求婚するエピソード(※)は、まさにこの糸魚川産のひすいを巡る交易・勢力図を象徴していると言われています。

さらに、このことにたとえば高天原たかまがはらから遣わされて出雲に国譲りを迫った神(建御雷神タケミカヅチ経津主神フツヌシノカミ)をそれぞれ祀る、鹿島神宮や香取神宮などの由緒(※2)を加味して捉えた場合にはどうなるか。

神話中に登場する高天原の所在や「出雲国譲り神話」の展開において「一方の極に関東が含まれているのではないか(高天原は関東地方にあったのではないか)」という、有力な捉え方とも結びつくことになるのですが、文字が語らない「かつて」を天然石の跡が語るというのも、なんとも好奇心をくすぐられる、ロマンチックな話ですね。

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参考資料

日本海ひすいライン乗車

大糸線から「ひすいライン」へ

糸魚川駅に着く直前(姫川駅ー糸魚川駅間)から、電車(大糸線)は日本海沿いを走りはじめます。

大糸線(上地図の緑線)が内陸部をひたすら北上する路線だとすると、旧北陸本線のひすいラインは、市振いちぶり駅(新潟県最西部)から直江津駅に向けて、日本海沿いを東進する路線(上地図青線)です。

大糸線経由で進む場合、海岸線走行の本番は糸魚川駅の先(ひすいラインエリアから信越本線エリアにかけて)にありますが、その少し手前にあたるエリア(大糸線姫川駅・糸魚川駅間)から、その雰囲気が出始める形ですね。

北越急行ほくほく線とのコラボ

糸魚川駅では大糸線からの短い接続時間の中、

下校時刻を迎えたと思しき地元高校生に囲まれながら、早速ひすいラインへ。

車体のカッコイイペイントでは、北越急行ほくほく線とのコラボイベントがプロモーションされていますが、「北越急行×えちごトキめき鉄道」のコラボは、記念乗車券販売などの形でしばしば行われている上、二社の間には統合案も存在するようです。

「ほくほく線」もまた新潟県内の三セク鉄道で、中越地方の六日町駅(南魚沼市)と上越地方の犀潟駅(上越市)の間を結んでいますが、

  • 六日町駅からJR上越線の越後湯沢駅まで
  • 犀潟駅からJR信越本線の直江津駅まで

以上の区間では、それぞれJR線への直通運転が行われています。

日本海ひすいラインや妙高はねうまラインとは設立経緯が異なりますが、未完の計画線(北越北線ほくえつほくせん)を引き継いでプランされたという点や、ほくほく線開業とともにほくほく線経由で運行されることになったJR在来線の特急「はくたか」が、北陸新幹線の長野駅・金沢駅間開業(2015年)を契機としてその名を新幹線に譲るなど、路線には旧国鉄・JRとの縁自体は存在しています(※)。

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Info・参考資料

日本海ひすいライン、車窓からのオーシャンビュー

糸魚川駅を出発したひすいラインは、日本海の海岸線沿いにルートを取ります。手の届きそうな位置にある堤防や砂浜、テトラポット、さらには水平線の彼方まで続く日本海を真横に眺めながら、一路直江津駅へ。

太平洋岸、たとえば神奈川県下の相模湾沿いであれば、江ノ電沿線や東海道線沿線の一部区間(前者であれば鎌倉高校前駅付近など、後者であれば国府津駅・根府川駅付近など)と同種の風情を感じさせる沿線風景ではありますが、砂浜との距離でいえばひすいラインの方が近いようにも感じます。

太平洋岸・日本海岸双方の違いとしては、総じて朝日が売りとなりがちな太平洋岸に対して、日本海岸ではしばしば夕日が売りとなっている点が挙げられます。

お昼を過ぎ、夕方近くなった時間帯であれば、「もう間も無く」ということですね。

ひすいラインは国道8号線との並走区間を持っていますが、この日の最終目的地である新潟駅までのおよその距離も、車窓から確認することが出来ました。

なんと、まだあと約140キロほどあるようです。

一般道を法定速度でひたすら走った場合、概ね3〜4時間程度の距離ですか。

この日の出発駅であった奈良井駅から、つい先ほど通過した糸魚川駅までの距離がおよそ140キロだ(※)ということで、偶然にも丁度折り返し地点にあたるエリアを通過していたことが確認できました。

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参考資料

「ひすいライン」の終点、直江津駅にて

やがて、電車は直江津駅に到着しました。

ETR“とは、Echigo Tokimeki Railway(ひすいラインの運営会社えちごトキめき鉄道)のことです。

ひすいラインの乗車時間は、糸魚川駅-直江津駅間でおよそ40分程度でした。

東京駅から東海道線に乗ったとすると、横浜市内を南北に縦断し、大船駅に着くかつかないかくらいの距離でしょうか。

今にして思えば「40分も乗車していたらわりと乗ってる方じゃないか」という気もするのですが、乗車時にそんなことを感じた記憶は微塵もありませんでした。

これぞまさに18きっぷ旅の魔力ですね。

降りたホームにはお菓子の自販機があり、

駅のコンビニ傍には、特産品・名産品の展示コーナーがありました。実際駅に降り立ってみると、地元の人たちの生活拠点感に勝るとも劣らない「観光拠点」感が、そのまま駅の個性になっているようにも伝わります。

このオブジェは、直江津駅がイベント列車「越乃Shu*Kura」の停車駅であることを伝えています。

「越乃Shu*Kura」は、土日を中心として「お酒を楽しむ」コンセプトに基づいて運行されているイベント列車で、越乃=越後、Shu=酒、*=米、雪、花、Kura=蔵を意味し、上越妙高駅と十日町駅の間を結んでいます。

直江津駅は北越急行ほくほく線からの直通電車の発着駅でもあるので、同じホームにはほくほく線の電車も止まっています(写真左側がほくほく線です)。

丁度地元中高生の下校時間に被ったこともあってか、どこか観光地然としたインフラの上に生活感も乗っていたように感じられたのが、夕暮れ時の直江津駅ホームの持つ雰囲気でした。

のんびり、かつ程好い活気と共にあった時間が、とても心地良かったです。

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信越本線区間へ -夕暮れ時の日本海-

信越本線・直江津駅出発後、しばらくは「海沿いを走っていること」がやや分かりにくい区間が続くのですが、やがて電車はひすいライン顔負けのオーシャンビュー区間へ。

JR信越本線・柿崎駅から先、およそ鯨波駅までの区間ですね。

砂浜がすぐ横にある区間では、距離感ゼロの車窓風景が楽しめるのですが、

特に青海川駅-鯨波駅間では、日本海との体感距離がほぼゼロとなりました。

ひすいラインの沿線にもオーシャンビュー路線がありましたが、

信越本線の笠島駅から鯨波駅にかけての区間はそれ以上で、18きっぷ旅のおすすめ路線の一つです。

余談として、この18きっぷ旅の約一年後。今度はドライブで同じ海岸線を走る機会に恵まれました(※)。

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